〜 edith Piaf Story 〜



† 第二章 愛の賛歌編 †


 1946年、ピアフは「コンパニオン・ド・ラ・シャンソン」という青年コーラス・グループと知り合い

彼らに『三つの鐘』をレコーディングさせます。 このレコードは100万枚売り上げた大ヒット曲と

なりました。 1947年に彼らを伴い、初のアメリカ公演をする決心をします。 ニューヨークのキャバレー

『Playhouse』での初めてのコンサートは残念ながらアメリカ人を惹きつけるに至りませんでした。

実はアメリカ人にはまだエディット・ピアフの偉大さが理解されてなかったからです。 ダガシカシ!!

ピアフはニューヨークの大新聞の一つが優れた批評を載せていたのを読んで、ニューヨークに残ることにし

マンハッタンのキャバレー『ヴェルサイユ』と1週間の出演契約を結びます。 ここでのコンサートは

大成功を収め、結局4ヵ月間滞在します。 そして翌年以降、毎年定期的に出演するようになりました。

ニューヨークではピアフにとって二つの重要な出会いがありました。 一つは女優であり歌手である

“マルレーヌ・ディートリッヒ”との出会いです。 二人の関係はピアフの死まで続きます。

そしてもう一つはプロボクサーの“マルセル・セルダン”との運命的な出会いでした。





 ピアフは“マルセル・セルダン”を熱愛するようになります。 この「ボクサーの王様とシャンソンの女王」との

ロマンスは新聞の格好の標的となりました。 ピアフの彼に対する愛情は数多い彼女の恋愛遍歴の中でも

もっとも激しく真剣なもので御座いました。 ダガシカシ!! 1949年10月28日、“マルセル・セルダン”は

飛行機事故に遭って急逝。 パリ・ニューヨ−ク間を飛ぶ飛行機がアゾレス諸島の近海に墜落したのです。

実は試合後“マルセル・セルダン”は、航路でピアフの元へ帰る予定であったが、「早くワタシに会いに来て」と

いう彼女の言葉で、急遽航路から空路へ変更。 彼女を愛するかゆえ、選んだ他愛も無い選択が、激しく

燃えた二人の愛の悲劇的な結末に・・・。 その夜、ピアフはニューヨークの「ヴェルサイユ」で歌っていました。

最初の唄を歌う前に客席に向かって、「今晩、私はマルセル・セルダンのために歌います。誰のためでも

ありません。彼のために歌います。」と言いました。 マルセルの死後、ピアフは麻薬に耽るようになりました。

一時は死を思いつめ、降霊術に救いを求めたピアフがそのような状況下で作詞したのが、あの不滅の名歌

『Hymne a  l amour(愛の賛歌)』で御座います。 この歌にはたとえ死が二人を引き離しても、愛するアナタと

永遠に結ばれていたいというピアフの切実な気持ちが込められていました。 『愛の賛歌』と聞けば

「あなたの燃える手でワタシを抱きしめて・・・・」とお思いでしょうが、これは日本人が訳詞したもので、

ピアフの作詞した原詩とはかなり詩の内容が異なっているので御座います。



『Hymne a  l amour(愛の賛歌)』


† エディット・ピアフ (原詩) †


† 岩谷 時子 (訳詞) †


青空だって私たちの上の落ちて来るかも知れない

地球だって ひっくり返るかも知れない

でも大した事じゃない あなたが愛してくれれば

世の中のことは、あなたが愛してくれれば

世の中のことはどうでもいい

恋が私の毎朝を満たしてくれれば


私の体があなたの手の下でふるえる時には

重大問題なんぞどうだっていい

あなたが愛してくれるんだから


世界の涯までも行きます

金髪に染めもします

あなたがそう言うなら

お月様をとりにだって行きます

宝物を盗みにだって行きます

あなたが欲しいと言うなら

自分の国を見捨ててもいい

友達を見捨ててもいい

あなたがそうしてほしければ

ひとがあたしの事を笑ったって平気

何だってしてのけます

あなたにそう言われれば


もしもいつか 人生があなたをうばっても

あなたが死んでも あなたが遠くに行っても

あなたが愛してくれさえすれば平気

だって私も死ぬのだから

あたし達は永遠の中に生き

広々とした青い空の中で

問題なんぞのない空の中で

恋人よ 愛し合うのだから

・・・・・・・


神様が愛し合う二人を又結びつけてくださるでしょう



あなたの燃える手で あたしを抱きしめて

ただ二人だけで 生きていたいの

ただ命ある限り あたしは愛したい

命ある限り あなたを愛したい


頬と頬よせて 燃えるくちづけを 交わす喜び

あなたと二人で 暮らせるものなら

なにもいらない なにもいらない

あなたと二人で 生きていくのよ

あたしの願いは ただそれだけよ

あなたと二人


固く抱き合い 燃える指に髪を

からましながら いとしみながら

くちづけを交わすの 愛こそ燃える火よ

あたしを燃やす火 心とかす恋よ











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