「 死 神 」
北風の唸りは死神の唄
静寂を掻き消し 真夜中に響き渡る
其の冷たく 重低な唄声は
無防備な樹木達を振るい上がらせ
時折 氷のやうに凍てつく硝子窓を叩く
おお 死神よ 我が来訪者よ
貪欲に燃ゆる 我が命と言う名の灯火
吹き消されるは 時期早々
今吹き消されては 些か未練が残る
いつか躰も精神も老い果てて
欲望燃ゆる 生への執着心が尽きた時
其の唄声と共に 再び我が眼前に現れ
命の炎を吹き消し 汚れた魂を奪うがいい
遠くに去りゆく死神の唄声
月無き闇夜は 蒼き静寂を取り戻す
再び 眠りに就いた樹木達は
凍えた暗雲の空に骨身をさらし
時折 犬の遠吠えが無機質な街並に響き渡る
2003.07.05
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