〜 さらば! モスクワの味 〜 |
ぐっと噛み締めてごらん
マァマァのあたたかい心が〜♪
昭和三十年後半から、五十年代前半生まれの関西人なら、誰でも知っているこのメロディ。
そう、関西一円で栄華を誇った中堅洋菓子会社「パルナス」のCMソングで御座います。
このCMは日曜朝の再放送枠、世界名作劇場「ムーミン」の放映時に流れていました。
不気味に微笑む赤ん坊の映像に乗って流れる、なにやら悲しく切ないロシア民謡調の
メロディ「パルナスの歌」。当時、ワタクシを含め、多くの少年少女に強烈な
インパクトを与え、トラウマの如く、濃く脳裏に焼き付きました。
「パルナスの歌」が流れると泣き出す子供が続出する中、ロシア民謡調のメロディに
合わせ、体を揺らし踊っていた幼き頃の私。この頃からマイナー調の歌が好きでした。
そしてこの悲しく切ないメロディのあとに始まるムーミンがまた暗い・・・。
岸田今日子氏が演じる、挙動不審者のようなしゃべり方のムーミンの物語が、どんなに
清清しく、爽やかに晴れた日曜の朝も、憂鬱雲に覆われ、暗く陰湿な朝へと塗り替えられて
しまいました。それでも観ていた私はこの時分から既にデカダン思想であったと思われます。
このパルナスには「パルちゃん」という
何のひねりも無い、そのまんまの名前の
イメージキャラクターが存在。
ロシア童話「ネズナイカ物語」の主人公を
下敷きにしたデザインなのですが、
この悲しく切ないパルナスの歌の如く、可愛い中に
なにやら暗く憂鬱な過去を背負っているかのような
表情をしたキャラで御座います。
パルナスのケーキで一番記憶にあるのがバターケーキ。当時は今の生クリーム主流の時代では
なく、安いバタークリームを使ったロシアンタイプが主流で御座いました。
まったり甘く、しつこいバタークリームの味。 懐かしき、記憶の味で御座います。
ダガシカシ! 栄枯盛衰、関西一円で栄華を誇った中堅洋菓子会社「パルナス」も、無借金経営
を続けていましたが、世の中の不況風に勝てず、二千二年に廃業。
社長曰く「赤字になって人に迷惑をかける前に会社をたたもう」と思い、徐々に資産を整理し
清算。多額の負債を抱え破錠し、日本経済を急降下させるどこぞの大企業や銀行の事を思えば
潔き幕引き。 さすが浪速の商人で御座います。
たとえ会社が廃業しようとも、「パルナスの歌」のメロディは朽ちることなく、我々関西人の
頭の中で未来永劫、流れ続けてゆくでしょう。 さらばモスクワの味! パルナス万歳!
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† お・ま・け † 「パルナスのCMをもう一度観てみたい・・・」 そんな関西の奇特な紳士淑女の皆様の声に応え、パルナスのCM及び全歌詞・楽譜を ご用意させて頂きました。 思い存分、ノスタルジックな雰囲気に浸って下さいませ。 |
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