「 夏 虫 (かちゅう) 」


真夏の歓楽 蠢(うごめ)く虫は

卑猥なネオンに 誘われて

眠らぬ都市
(まち)の 街灯に

群がり 羽根を羽ばたかす




(いろ)に狂うて 蠢(うごめ)く虫は

甘き匂いに 誘われて

生殖本能 剥き出しに

火照る躰
(み)焦がして 発情す



銭に狂うて 蠢
(うごめ)く虫は

甘き言葉を 吐きかけて

隠した牙を 剥き出しに

生血を啜
(すす)って 毒を盛る

 


高温多湿の 熱帯夜

繁華の街に 轟
(とどろ)く声は

欲に喘
(あえ)いだ 虫どもの

価値なき 五分の魂の唄

2005.08.15




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